アヤ
「ごめんごめん、待った?」
マリィ
「アヤ、10分遅刻よ。あんたって待ち合わせの定刻に来たこと無いわねー」
ジュディ
「まぁまぁ、マリィ。どうせバスもまだ来てないんだしさ」
アヤ
「しかしピエールとジルが天ぷらをご馳走してくれるなんて。どんな天ぷらなのか
楽しみだね」
マリィ
「もっとも、その為にメルヘン王国まで行かななきゃいけないけどね」
ジュディ
「あ、バス来たみたいだよ」
バサバサバサ・・・・・
ユーリ
「・・・・なんで私がお前達をメルヘン王国まで乗せていかなきゃいかんのだ」
アヤ
「だってメルヘン王国遠いんだもん」
マリィ
「それにあんただって、私達のような美女3人を背中に乗っけれるなんて滅多に
ないチャンスなのよ?むしろもっと喜ばなきゃ」
ユーリ
「全く、ぶつぶつ・・・・・・・・」
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ジュディ
「ふぅー、やっと着いたわね」
アヤ
「ピエールとジルの家ってどこだっけ?」
マリィ
「確かこの辺のはずだけど・・」
ジュディ
「あれ?私達の前にいるあの後ろ姿、ディーノ君じゃない?」
アヤ
「あ、ほんとだ。おーい!ディーノー!」
ディーノ
「ひぃっ!ご、ごめんなさい、先生。今、お城に戻ろうと思ってた所なんで・・・って、
なんだ、マリィさん達か」
マリィ
「その様子だとまた家庭教師から逃げてる最中みたいねぇ」
ディーノ
「へへへ・・・」
ジュディ
「そうだ。私達、今からピエール君とジル君の所に天ぷら食べにいくんだけど、
ディーノ君も一緒に行かない?」
ディーノ
「え、いいの?・・それならウィルソン先生に見つかる事もないかな・・・、
あ、いや・・そうだなー、それじゃそうしようかな」
アヤ
「ついでにピエール達の家を教えてくれると助かるんだけど」
ディーノ
「あ、それなら僕知ってるから案内するよ」
マリィ
「それじゃ、一緒に行きましょう」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ディーノ
「ほら、ここだよ」
アヤ
「ふぅん。見かけによらず、住んでる家は普通なんだね。彼ら」
マリィ
「アヤ。あんた、さり気なく酷い事言うわね」
ジュディ
「呼び鈴押すよ」
ぱお〜ん♪
マリィ
「・・・なんなのよ、この呼び鈴は・・・」
ガチャッ
ピエール
「みんなー、よく来たー」
ジル
「よく来たー」
アヤ
(・・こいつら家の中でも着ぐるみ着てるのか)
ジュディ
「こんにちは。今日はお誘いありがとう」
マリィ
「途中でディーノと一緒になったもんで連れてきたんだけど、いいかしら?」
ピエール
「王子様だー」
ジル
「王子様も天ぷら食べるー」
ディーノ
「ありがと。それじゃ、お邪魔するよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ピエール
「それじゃ、いっぱい食べるー」
ジル
「食べるー」
ジュディ
「わぁー、いっぱい出てきたね。美味しそう!」
マリィ
「・・・ほとんどのモノが衣に覆われてるから何の具か分からないけどね。
とりあえず、このエビをもらおうかしら?・・エビの割に尻尾が無いけど」(ぱくっ)
ピエール
「それ、エビの天ぷらじゃないー」
ジル
「ヘビの天ぷらー」
マリィ
「ぶっ!!」
ディーノ
「わぁ!汚い!」
ピエール
「全長2メートルのヘビをブツ切りにしたものー」
ジル
「したものー」
マリィ
「な、なんてもの食べさすのよ!あんた達!」
ジュディ
「まぁまぁ、マリィ、落ち着いて・・。今度は私が食べるから。えっと、この楕円形の
ものは何かしら・・?」(ぱくっ)
ピエール
「それはプリンー」
ジル
「プリンの天ぷらー」
ジュディ
「ううっ・・。プリンが妙に生暖かくて、衣の油が口の中で溶けあってるよ〜・・・」
アヤ
「そ、そんな泣きそうな顔して私を見つめないでよ・・。私はフツーのやつが食べたいわ・・・。
この薄くスライスしているものは何?」
ピエール
「それは、さつまいもー」
ジル
「さつまいもー」
アヤ
「さつまいもか・・。それなら平気だわ。えっと、あれ?私の天つゆは?」
ピエール
「これ、アヤの天つゆー」
ジル
「天つゆー」
アヤ
「・・・?天つゆにしてはちょっと黒いような・・・」(ぱくっ)
ピエール
「それはアヤの大好きな炭酸飲料ー」
ジル
「コーラー」
アヤ
「ぶはぁッ!!」
ディーノ
「わぁっ!こっちに向かって吐かないでよ」
アヤ
「な、何か悲しくてコーラがしみ込んだ天ぷら食べなきゃいけないのよ!!」
ピエール
「アヤ、炭酸飲料好きって言ってたのにー。嘘つきー」
ジル
「嘘つきー」
アヤ
「じゃあ、あんたらにもコーラ汁たっぷりつけた天ぷら食べさせてやるよ!
ほら!口開けてみ!!」
ジュディ
「ア、アヤ!ここはこらえて・・・!」
マリィ
「とりあえず、これ以上食べないほうが良さそうね・・・」
ピエール
「美味しくないのー?」
ジル
「美味しくないのー?」
ジュディ
「うっ・・・、だ、駄目。私、こういう子供の真剣な眼差しに弱いの・・・・」
マリィ
「元ベビーシッターの血なのね。ジュディ」
アヤ
「あの怪しい目つきが真剣な眼差しか・・・?それ以前に、こいつら子供なのか?」
ジュディ
「ごめんなさい。せっかく作ってくれたんだもの。私食べるわ」(ぱくっ)
マリィ
「ジュ、ジュディ・・・」
ジュディ
「・・・・・・・・・・」
アヤ
「ど、どう?」
バタッ。
マリィ
「ジュ、ジュディー!!」
アヤ
「ちょっと・・・、さっきのは何だったの?」
ピエール
「うめぼしー」
ジル
「うめぼしー」
アヤ
「梅干しか・・・。食べられない事はないけど、よりによって口にしたのがジュディだった
とはね・・・」
マリィ
「こうなったら旅は道連れよ。ディーノ、あんたも何か食べなさい」
ディーノ
「えっ・・?」
アヤ
「天国への旅の道連れじゃなきゃいいけどね」
ディーノ
「こ、怖い事言わないでよ!」
ピエール
「王子様の天ぷらは特別製ー」
ジル
「特別製ー」
マリィ
「・・何?えらく大きな皿が出てきたわね」
アヤ
「蓋がしてあるのがますます怪しいな・・・」
ディーノ
「うっく・・・」
マリィ
「で、これは何なの?」
ピエール
「バナナの皮ー」
ジル
「皮ー」
マリィ
「おめでとう、ディーノ。食って食えないものじゃないわよ」
アヤ
「そうそう。ヘビやコーラ漬けの天ぷらに比べたら全然生ぬるいわ」
ディーノ
「ひ、他人事だと思って!」
アヤ
「他人事だってば」
マリィ
「それじゃ、蓋開けるわよ」
ディーノ
「ううっ・・・」
ぱかっ。
ディーノ
「ひぃぃっ!!ト、トロッピー君!!」
ピエール
「バナナの天ぷらー」
ジル
「天ぷらー」
ディーノ
「ト、トロッピー君!しばらく見ない内に、こんなにふっくらとキツネ色になって・・・・」
マリィ
「・・・もう、何見ても驚かなくなったわ」
ピエール
「美味しいよー」
ジル
「美味しいよー」
アッシュ
「ちょっと待ったぁ!!」
アヤ
「ア、アッシュ?あんた、一体何処から現れたの?」
アッシュ
「ピエール、ジル。こんなものは料理じゃないッス」
アヤ
(無視か、てめぇ)
アッシュ
「料理とは食べてもらう人に美味しい、と言ってもらって初めて料理と言えるもの。
この天ぷらは料理とは言えないッス」
ピエール
「美味しいのにー」
ジル
「美味しいのにー」
アッシュ
「まだ言うか。大体、料理とは・・・」
マリィ
「こうなったらみんな道連れよ。アッシュ、あなたもこの天ぷら食べてみなさいよ」
アヤ
「そうだよ。不味いのは分かってるけど、自分で実際に味を確かめて、それから語ってみたら?」
マリィ
「とりあえず、このヘビの天ぷらなんてどうかしら?」
アッシュ
「ふん、こんなものうまいわけ・・・・うっ!」
アヤ
「?」
アッシュ
「う、うまい!!」
マリィ
「はぁ!?」
アッシュ
「この舌の上でとろける絶妙な味・・・!こ、このヘビは一体?」
ピエール
「メルヘン王国南部に生息している大蛇ー」
ジル
「大蛇ー」
アヤ
「じゃあ・・・、この梅干しの天ぷらはどう?」
アッシュ
「こ、これは・・・!口の中に広がる梅干しの酸味と天ぷらの衣が絶妙なハーモニーを出して
いる・・!この梅干しは一体・・・?」
ピエール
「メルヘン王国北部で育ったうめぼしー」
ジル
「うめぼしー」
マリィ
「アッシュ・・・、あんた、舌大丈夫?」
アヤ
「だったら・・・、このコーラ漬けの天ぷら食べてみなよ」
アッシュ
「そ、そのコーラは?」
ピエール
「メルヘン王国西部でとれたカフェインと砂糖で作ったコーラー」
ジル
「コーラー」
アッシュ
「・・・うまい!コーラと天ぷらの組み合わせがこんなに美味しいなんて!
こ、これは究極の料理だ!!」
マリィ・アヤ
「メルヘン王国産なら何でもいいのか!お前は!!」
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