太陽に燃えろ

ニャミ
「ペッパー、このポプ曲署に新しい刑事が配属されるみたいよ」

ペッパー
「こんな時期にか?一体どんな奴なんだ?」

ニャミ
「名前は三田ヒロシ。通称スーツ。今までは本庁のほうにいたんだけど、
度々大胆な行動で無茶な捜査やったりで周りを騒がせていたみたい」

ペッパー
「おいおい、問題児ってやつか?つまりそいつを俺達の所で面倒みろって事か。
相変わらずお上は面倒な事はこっちに回してくれるな」

ニャミ
「まあまあ。仮にも本庁の第一線で働いていた人なんだから腕はいいかもしれないよ?」

ペッパー
「ふん。まあいいや。で、そいつはいつくるんだ?」

ニャミ
「えーっと、私も今このファイル貰ったばかりだから。どこに書いてあるかな・・?」

コツーン・・・コツーン・・・

ペッパー
「ん、何だ?靴の音・・?廊下からだ」

コツーン・・・コツーン・・・

コツーン・・・コツーン・・・コツ

ニャミ
「と、止まった。この部屋の扉の前で」

ガチャッ

ギイィィ

ニャミ
「あ、あなたは・・」

スーツ
「よう。俺の名前は三田ヒロシ。あだ名はスーツだ。本日付けでこのポプ曲署捜査一課に
配属になった。よろしくな」

ペッパー
「お、お前がスーツか。(デカい顔だな・・・)」

ニャミ
「よ、よろしく。スーツ。(デカい顔・・・)」

ペッパー
「まあ・・そんな扉の前で仁王立ちしてないで入ってこいよ」

スーツ
「おう。じゃ、失礼するぜ」

ガツッ

スーツ
「ん?何で部屋に入れねぇんだ?」

ペッパー
「お前・・、顔の面積が大きいんだよ。横向きになれば多分入れるぞ」

スーツ
「おお、本当だ。入れたぜ。じゃあ改めてよろしくな」

ニャミ
「紹介するわ。私はニャミ、こちらはペッパー」

スーツ
「俺は自分で言うのも何だが射撃は得意だぜ。走るのも速いし格闘技の
心得もある。どんな凶悪犯とも戦える自信はあるぜ。今は何か重大な
事件とかないのかい?」

ペッパー
「頼もしいもんだな。だが生憎というか、幸いにもというか、現在特に
事件は起こっていない」

ジリリリリン!

ニャミ
「はい、もしもし。・・・あ、はい。わかりました。今から行きます。
・・ペッパー、今から始めるそうよ」

ペッパー
「分かった。おいスーツ、今から窃盗容疑の男を取り調べするところ
なんだが、せっかくだからお前にも手伝ってもらおうか」

スーツ
「尋問か。初仕事にしてはいささか地味だがそれも得意だぜ。じゃあ行くとするか」

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ペッパー
「ここがポプ曲署の取り調べ室だ」

スーツ
「よし、入るか」

ガツッ!

スーツ
「??」

ペッパー
「横向きで入れよ・・・」

ニャミ
「それでは始めましょうか。容疑者の名前はジャム。自称”ジャムおじさん”。
容疑はカレー店での食い逃げです」

ペッパー
「さて、ジャムとかいったな。カレー屋の店員の証言から捜査をしたところ、容姿が
非常によく似たお前さんが容疑者に上がった。それでこうしてご同行いただいたわけだが、
食い逃げをしたのは事実か?」

ジャム
「・・・・・」

ニャミ
「もう一人似たような容姿をした人でユンタという人がいたけど彼にはちゃんとアリバイが
あったわ。店員に写真を見せても”こんな若い人じゃない”と言っていた。そしてあなたの
写真を見せたら”よく似ている”といっていたわ」

ジャム
「・・・・・」

スーツ
「こんなおっさん面、そうそう間違えねぇよな」

ジャム
「・・・・・同じおっさん面のあんたに言われたくないよ」

スーツ
「んんん〜?何か言ったか?言ったのはこの口か?ん?」

ジャム
「あがががが!」

ペッパー
「まあまあ、落ち着け、スーツ。なあ、ジャムよ。多分腹が減って仕方なかったんだよな?
だからつい食い逃げしてしまった。悪いとは分かっていてもやってしまったんだ。そうだろ?」

ジャム
「・・・・・」

ペッパー
「今も腹が減ってるんだろ?」

ジャム
「・・・・・」

ペッパー
「とりあえず飯でも食うか。ニャミ刑事、アレを」

ニャミ
「はい」

コトッ

ジャム
「う・・・」

ペッパー
「カツ丼だ。まあ刑事ドラマでもお約束の展開だがな。とりあえず腹満たしてからゆっくり
話そうや」

ジャム
「・・・・」

ニャミ
「どうぞ。遠慮なく食べていいのよ。お腹空いてるんでしょ?」

ジャム
「・・・・・う」

ガツガツガツガツ・・・・

スーツ
「ふぅ〜、食った食った」

ペッパー
「お前が食べてどうするんだよ!!」

スーツ
「やや、これは失敬。俺はカツ丼に目がなくてな。天丼も大好きなんだが」

ペッパー
「と、とにかくジャムよ。自白すれば少しは罪が軽くなるぞ?」

ジャム
「・・・・・」

ペッパー
「お上にも情けはあるんだ。素直に吐いたらどうだ?」

スーツ
「うっ!!」

ペッパー
「どうした?スーツ」

スーツ
「カツ丼一気食いしたから気持ち悪い・・。は、吐きそうだ」

ペッパー
「お前が吐いてどうするんだよ!!」

ニャミ
「ペッパー、容疑者の保護者を呼んできたわ」

ペッパー
「そうか。入れてくれ」

レオくん
「どうも。僕の身内の者がご迷惑をおかけしまして・・・」

ジャム
「・・!レ、レオ」

レオくん
「ジャム、どうして食い逃げなんか・・・。いくら最近仕事がないからって」

スーツ
「あんたが保護者か?しっかりしてくれよ。こいつは食い逃げをしたんだぞ?
食い物を奪い取るなんて最低の行為だ」

ペッパー
「お前もさっき食い物奪い取っただろう・・・」

レオくん
「ジャム。どうして僕に相談してくれなかったんだ。そんなに食べる事に困って
いたのなら僕が少しは面倒見てあげたのに・・・」

ジャム
「だって・・・、レオの所いくと三食全部チョコレートなんだもん・・・」

ニャミ
「とにかく、これで解決ね。今回のことは書類送検しておくわ」

レオくん
「本当に申し訳ありませんでした。さあ、帰ろう、ジャム。またいつか仕事が
まわってくるさ」

ジャム
「うっうっうっ・・・。背景はもう嫌だ・・・」

スーツ
「不況の世の中が引き起こした悲しい事件、か。明日は我が身かもな・・・」

ニャミ
「スーツ。なんで夕日のポスターに向かってタバコ吹かしてんの?」

ペッパー
(こいつ、本当にお荷物だな・・・・)



〜続く〜