「スパイ大作戦」
深い霧が立ちこめる夜の港。遠くで汽笛の音が聞こえる。
あたりは貨物庫が立ち並んでおり、人気は無い。
サングラスに黒い帽子、全身真っ黒なスーツを着込んでんだ男を
除いては。
男は煙草に火をつける。彼の名前はチャーリー。イギリス某国の
凄腕のスパイで裏の世界で彼の名前を知らぬ者はいないとまで
言われている。しばらくすると一台の車が近づいてきた。
車がライトを上げてチャーリーの姿を映す。やがて車は
チャーリーの横までくると静かに停車した。車の運転席の窓が
半分空いて、中から短銃を構えた男がチャーリーに向けて小さく
呟いた。
男
「・・合い言葉は?」
チャーリー
「Spicy Piece」
男
「今度のプロジェクトの説明をする。内容は要人暗殺だ。
ジャマイカ国のA地区を牛耳っている権力者を狙撃する」
チャーリー
「わかった。ふふ、久々にこのマグナムが火を吹くぜ」
男
「いや、狙撃は別の者が行う。お前にはターゲットの注意を
引き付ける、おとり役をやってほしい」
チャーリー
「なんだ、そうか。まぁいい。・・で、どうするんだ?」
男
「この『クラフト?』の着ぐるみを着てターゲットの前で
ジャムおじさんの踊りの真似をしろ」
チャーリー
「な、なんだと?」
男
「ターゲットがあっけにとられている隙に別の者が殺る、という
作戦だ」
チャーリー
「ば、ばかやろう・・!そんな事できるか!」
男
「じゃあクビだ」
チャーリー
「ぐっ・・」
ーーーーー数日後ーーーーーーーーーー
男
「チャーリー、今度のプロジェクトの説明をする」
チャーリー
「・・今回はなんだ?」
男
「日本の神風研究所に侵入してギャンブラーZのメイン
コンピュータの入ったチップを盗み出す。あれは軍事用に大きく
利用できそうだからな」
チャーリー
「そうか、隠密行動はスパイの18番だ。やってやるぜ」
男
「いや、盗み出すのは別の者が行う。お前には研究所員達の
注意を引き付ける役をやってもらいたい」
チャーリー
「・・なに、またか?」
男
「この携帯カラオケセットを持っていって研究所の前で
『ギャンブラーZのテーマ』及び、『グレートギャンブラーの
テーマ』を熱唱しろ。振りつけも忘れずにな」
チャーリー
「あ、あのなぁ・・!」
男
「不服か?じゃあクビだ」
チャーリー
「・・・・・」
ーーーーーーーまた数日後ーーーーーーー
男
「チャーリー、今度のプロジェクト説明をする」
チャーリー
「・・・・・」
男
「新宿のゲームセンター、『しるこポルト』の売上金を盗みだす」
チャーリー
「お、おい!いきなり規模が小さくなってないか?」
男
「我が組織も不況で経営が苦しいんだ」
チャーリー
「・・で、なにをやらせるつもりだ・・」
男
「その黒ずくめの格好のままで店頭にある『ポップンミュージック2』
をプレイしろ。選曲はメロウ、Jポップ、ガーリィのガールズ
ポップメドレーだ。キャラはリエちゃんを選べ。これで店員の
注意を引きつけるのは間違いない」
チャーリー
「こっ、この・・!この・・!」
男
「不服か?じゃあク」
バキューン!!
チャーリー
「言われなくてもやめてやる!こんな組織ッッ!!」
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