スーツ
「世話になったな。といっても1日だけだったがな」
ニャミ
「そんな・・・スーツ・・・」
スーツ
「・・あばよ」
ペッパー
「ス、スーツーーーーーー!!」
ワルドック
「ようし。そのままゆっくりこい。妙なマネは起こすなよ」
スーツ
「・・・・・」
ワルドック
「ん?お前、遠くからじゃよくわからなかったが股間が妙に
大きくないか?」
スーツ
「ふふふ、嫉妬する気持ちも分からんでもないが、自分のが小さいからって
気にすることはないぞ?ちゃんと”機能”さえしっかりしていて子孫繁栄に
貢献できれば何の問題もないんだ」
ワルドック
「何をわけのわからんことを言っとるのだ!」
スーツ
「それに相手を満足させるのは大きさじゃない。テクニックと愛さ」
ワルドック
「うるさい!余計な事は喋るな!・・ん、お前、腰に手錠をかけてるな。
ちょうどいい。それをこっちに渡してもらおうか。もちろん鍵も一緒にな」
スーツ
「・・そらよ」
ワルドック
「ふっふっふっ、これをこうして・・(ガチャリ)、儂とお前の腕を繋いでおけば
隙をついて逃げることもできまい。今からお前は儂の盾の役割を果たすのだ」
スーツ
「・・・・」
ワルドック
「さあ!今から車に乗り込むぞ!その前に貴様ら全員、武器をこちらに投げ捨てろ!
そして手をあげておくんだ!こいつの命が惜しかったらな!」
ニャミ
「ペッパー・・・」
ペッパー
「みんな、とりあえず奴の言う通りにするんだ」
ガシャガシャガシャ・・・・
ワルドック
「グハハハ、ずいぶん出てきたな。だが使えなければ銃もただのオモチャ。
さあ、行くぞ!」
スーツ
「待て。その前に頼みたいことがある」
ワルドック
「何だ。みんなに最後の別れの挨拶か?」
スーツ
「目がかゆくなってきた。かかせてくれ」
ワルドック
「かゆいだと?それくらい我慢しろ!」
スーツ
「目がかすむんだ。前がよく見えない。俺を盾にするという事は先に歩かせるんだろ?
このままじゃまっすぐに歩けない」
ワルドック
「・・・・・・。よし分かった。だが、かくのは儂がやってやる。お前は動くな!」
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ニャミ
「何をしてるのかしら?何か話し合っているみたいだけど・・・」
ペッパー
「まさか、爆弾の事がばれたのか?くそっ、ここからじゃ何も聞こえん・・・・」
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スーツ
「お前がやってくれるのか?それでもかまわないが。まずはサングラスを
取ってもらいたいんだが、いいのかい?」
ワルドック
「いいも悪いもサングラスを取らなきゃやりにくいだろうが!あまり喋るな!
さっさと済ませるぞ・・・!」
スーツ
「じゃあお願いするよ」
ワルドック
「ふん!取るぞ!・・・・・・・・・・・・・・ん?」
スーツ
「・・・・・・・・」
ワルドック
「あ、あああああああ!!うわあああああああああ!!!!」
ペッパー
「なんだ?どうした!?」
ニャミ
「こ、この位置からじゃスーツの背中しか見えないけど・・・何かワルドックが
スーツを見て驚いているみたい」
ワルドック
「あああああああああああああああああああ!!!」
スーツ
「俺は本来、人前では決してサングラスを取らないのさ!
理由は、今お前が身をもって知った通りだ!」
ワルドック
「お、恐ろしい・・・恐ろしい・・・・・・・」
スーツ
「動揺しているな、今だ!!」
ペッパー
「ば、爆弾を取り出した!」
スーツ
「俺と一緒に地獄に行こうぜ!犯人よ!」
ワルドック
「!!」
スーツ
「・・・あ?ああーーーーーーーーーーーーッ!!」
ペッパー
「ど、どうした!?」
スーツ
「ライター忘れたーーーーーーーーー!これじゃ火が付けられーーーーーーーん!!」
ニャミ
「えええ!?」
ペッパー
「・・・・・あ、アホかーーーーーー!!お前はーーーーーーー!!」
ニャミ
「せっかくスーツの事、かっこいいって思えてたのに・・・」
ワルドック
「ぐ!貴様!!!」
ミミ
「!危ない!スーツさん!」
スーツ
「おっと!」
ガシッ!
ワルドック
「ぐぬぬ・・・!!」
スーツ
「ふふふ・・、お前のマシンガンも下に向けられねば無意味・・・!
俺とお前の力比べ、どっちが上かな・・・!?」
ワルドック
「ぐうう〜!」
ニャミ
「スーツとワルドックが腕を掴み合ってる・・。でも、ちょっとでもワルドックの
マシンガンが下がったら撃たれちゃうわ!」
ペッパー
「くっ・・、俺達の武器はあっちに投げ捨てちまったし。大体、スーツの背中が
手前にあるから下手に撃ったらあいつに当たっちまう・・・。そ、そういえば
爆弾はどうした?」
ニャミ
「あ、あそこ!スーツの足元に転がっている!」
スーツ
「・・・おーい!火だ!火を投げろ!」
ペッパー
「スーツ・・・!」
スーツ
「早くしろ!犯人は逆上している!このままじゃ俺はもちろん、みんな撃たれちまうぞ!」
ニャミ
「ひ、火っていっても・・・ライターじゃ届かないし。大体、導火線につけるのも難しいわ」
ハヤタ
「火、いるんですか?」
ニャミ
「・・え?」
ハヤタ
「僕の頭は火です。僕が頭を投げますよ」
ニャミ
「でもあなた・・・」
ハヤタ
「刑事さん達の役に立てるならかまいませんよ。それにこのままじゃ、ここにいる全員
危ないんでしょ?」
ペッパー
「あんた、いいのか・・・?頭無くしても」
ハヤタ
「そんな事いってる場合じゃないですよ。ほら、あの刑事さんが押されてる」
ペッパー
「なに!?」
スーツ
「ぬうう・・・」
ワルドック
「グ、グフフフ・・・、貴様も刑事だけあって力は強そうだが、人体改造を施してある儂の力
のほうが若干強かったようだな・・・!」
スーツ
「・・・・」
ワルドック
「もうすぐマシンガンが貴様の脳天の高さまでいく。盾を失うのは惜しいが、もう貴様は
信用できんからな・・・!」
ハヤタ
「よーし!いくぞー!」
ワルドック
「!?」
ヒューーーーーーーーーーーーーーーーー
スーツ
「!」
ボウッ。ジジジジジ・・・・
ニャミ
「導火線に火がついた!」
ワルドック
「!!う、うわぁーーーーー!に、逃げなければ!」
スーツ
「無駄だ!例え今、俺を撃ったとしても俺を引きずっては走れまい!
この手錠をかけたのが仇になったようだな!」
ワルドック
「か、鍵、鍵・・・!ぐああ〜!手を離せぇぇぇぇ!!」
スーツ
「往生際の悪い奴め。・・ほらよ」
ワルドック
「うわぁっ!」
ドタッ
スーツ
「離してやったぞ。なんだ、死ぬ前に地面にお別れのキスか?」
ジジジ・・・・
スーツ
「おっと、俺のサングラス。これはもっていかねぇとな・・・」
ペッパー
「スーツ!」
ニャミ
「スーツ!」
スーツ
「・・・最後にお前らの顔が見れて良かったぜ」
ニャミ
「スー・・・・・!」
ペッパー
「くっ!みんな!伏せろ!!」
カッ
ズガアァァァァァァァァァァァァン
ニャミ
「スー・・・・ツ」
ペッパー
「・・・・・・・・・・・・」
ニャミ
「なんて事なの・・・、スーツ・・・」
ペッパー
「あいつ・・最後の最後だけは格好よかったな・・」
ニャミ
「それに・・・ハヤタさんまで・・・」
ペッパー
「自分の頭を投げるとはな。非常事態とは言え、一般人にまで
犠牲者を出してしまった・・」
むくっ
ペッパー
「ん?うわあ!ハヤタの体が起きあがった!!」
ニャミ
「えっ!?」
すたすた
ペッパー
「く、首のない状態で歩いてる・・・」
ハヤタ
「ご心配なく。僕はちゃんと生きています」
ペッパー
「へっ?」
ハヤタ
「このアタッシュケースの中にですね・・・」
パカッ
ペッパー
「げえっ!丸い生首がいっぱい入ってる!」
ハヤタ
「この頭をくっつけて、後は火をつければ・・・」
ボオオオオ
ハヤタ
「この通り、元通りになります」
ペッパー
「・・どーいう構造してるんだ?」
ハヤタ
「レーサーとして全国を走り回っていると時々火が欲しいと言って
困っている人がいましてね。そんな時に僕の頭をあげているんです」
ペッパー
「アンパ○マン見たいな奴だな・・・」
ニャミ
「でも・・スーツは・・・」
ペッパー
「そ、そうだ・・・。変な奴だったが、あいつは一応人間だ。体の取り替え
なんてできるはずもない・・・」
ニャミ
「銀行が、半壊してる・・・」
ペッパー
「爆弾が破裂したんだからな・・・。あいつの勇敢な行動によって」
ニャミ
「・・・・・。いつの間にか夕暮れになってるね」
ペッパー
「そうだな。空が真っ赤だ・・・」
ニャミ
「私、なんだかあの夕暮れにスーツの顔が浮かんで見えるわ・・・」
ペッパー
「ああ、俺もだ・・・・」
ー完ー